草刈りサンガのお誘い
この度、草刈りの集い、「サンガ」を定期開催いたします。
「サンガ」とは、様々な意味合いを持つ言葉でありますが、ここでは「和合を重んじる志ある集い」というように定義して使用します。
このサンガが行い・目的とするところは、主に「草刈り」であります。草刈りするための道具を手入れするところから始まります。近い将来、竹林の間伐・整備など入会地(共有地)へ広がってゆく可能性があります。
草刈りサンガを通して、大切にしたいことがあります。それは「心を澄ませる / 技術を磨く / 和合を重んじる仲間であること 」の3つです。「草刈り」の背景をお伝えしながら、その想いをご説明したいと思います。
草刈りサンガに至るまで
約3年前に神戸市北区の美しい農村集落で、遊休地となっていた農地を使わせていただく運びとなりました。初めは4畝(約400平米)ほど、それから現在では1反弱(約1000平米)に広がりました。お店と自給用の雑穀・季節の野菜・ハーブなどを育てていますが、食糧の栽培・管理以上に大変なのは、日々の草刈りです。
山地の多い日本には、棚田に代表されるように、山の斜面や谷間の傾斜地に高低差のある農地が点在しています。農地には、耕作する平地に加えてこの斜面が含まれ、同様に管理することが求められます。草刈りを怠ると ◎雑草の種が飛散する ◎野生動物の住処や潜み場となる ◎景観を損なう などの理由から周囲にご迷惑を掛けてしまう、というのが共通認識となっています。(特に郊外の農村で顕著なルールなのかと思います)逆に草刈りに手が回らないから農地を手放す、という高齢の農家さんもおられますし、お金を支払って草刈りを外注している、という地域もあります。それほどに、草刈りの負担は大きいのです。
一方で、遊休地を農地として管理し、その周囲の草刈りを行う、ということは食糧生産という側面だけでなく、地域への貢献にもなります。さらに関係を築いていけば、草刈りの範囲を広げ、地域のお役に立つこともできるのです。農村で農を営ませてもらうことで、知ることができた苦労と喜びです。
そこで、お借りしている農地周囲の草刈りを「行」として務めはじめました。通常、草刈りと言えば、草刈機で芝生のように均一に草を刈り込むもの。耕地は耕作時期に合わせて草刈機を使うこともありますが、 周囲の斜面は、上り下りしながら手鎌で無心に刈ってゆくのです。はじめの年は、ススキやセイタカアワダチソウなど背の高い茎の長い雑草群が優勢で、草刈りの度に腕や顔に傷ができて一苦労しました。翌年は、少し開けた大地に葛がはびこり、地下でつながっているその太い茎を引っこ抜く格闘でした。そして、3年目の今年はというと、上記のような根の太い植物は減退し、クローバーに混ざってヒメジオンやスイバやたんぽぽなど表情の柔らかい植物が点々としている丘になってきました。
無心の草刈りは瞑想となり、いつしか身体が勝手に動き出しています。道具が身体と一体となっていきます。そして地球のリズムに乗ってここにあることに気付く瞬間が訪れるのです。そのように迎え入れられる世界があってこそ、私たちはあらゆることに謙虚に感謝の念を持つことができるのかもしれません。これが自然の中で素朴な暮らしを営んできた私たち祖先の、そして驚異的な技術で道具を作り、使い続けてきた日本人の自己なのかもしれない。そのような体験を共有することで、現代の私たちが失ってしまった大切な感覚を取り戻せるのではないか、という思いが芽生え、この度「草刈りサンガ」を共にする仲間を募ることにしました。
サンガで大切にしたいこと
一.「行」によって心を澄ませる
日常の行動・言動、何事も「行」として当てはめることができますが、草刈りという一見雑用のような諸事にこそ、心を集中して、その行為自身になる。瞑想を実践する場として、もってこいだと考えます。
一. 技術を磨く
身体の鍛錬、微細な意識といった身体性の向上、また日本が誇る刃物などの道具に対する理解と敬意をも深め、その手入れと手捌きの技術を磨く機会になればと思います。
一. 和合の仲間
言わずもがなではありますが、仲間はサンガの醍醐味であります。年齢・性別を超えて、正直に心を開き合う。心と身体を磨いて、いま目の前にある足元の現実から手入れをしていく。その先に地域の、ひいては社会のお役に立つ。そんな志を持つ仲間と心でつながっていけたら、とても嬉しく心強く思います。
サンガへのご参加
草刈りサンガへのご参加は、事前申し込み制でGoogleグループにご招待させていただきます。(そのためできるだけGmailアドレスのご記入をお願いします。)サンガの開催は、草刈り時期である5〜10月の毎月第3日曜日+どこかの月曜日。できるだけ前月の終わりまでに日時をメールにてお知らせ致しますので、ご参加希望日がありましたら、ご返信ください。なお、天候により直前に開催日を変更せざるを得ないことがあります。また毎回、少人数(4〜6名)で実施するため、参加希望者が多い日は、調整させてもらうことがあるかもしれません。今後、活動地が広がればさらに多くの仲間と集う場となります。なお、交通手段は車に限られますので、あんのん舘から同乗されるか、自家用車でご参加の方には待ち合わせ場所をご案内いたします。新たな試みなので、活動していく中で、より良き運用に変化していくことと思います。
たかが草刈り、然れど草刈り!どうぞご一緒に精進しましょう!